深夜3時岬ちゃん降臨
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俺の女装写真って正直かわいいと思う。これが世に出ないまま終わるのは少しくもったいない。俺が死ぬのももったいない。
かなり病んできた。さまざまな選択を間違えすぎた。もっと利己的に、自分勝手に生きればよかった。ずっと。
しかし自分勝手に生きれなかったからこそ、あの手紙を貰えたというのも事実。
悪いのはそうよいつもわたしでいいの。わたしだけがいつも外れくじ。
あたしは佐藤君が追いかけて来なかった世界線の岬。存在の罪のために身を投げるの。
つらい。消えたい。ドラマにならない。ぜんぶ自分で投げ捨てたのにぜんぶが未練がましい。
これ以上役に立てない。役に立たなかったわけじゃない。あたしはいわば型落ちの電化製品。充分働いたけどもう誰もいらないの。
あたしを好きだと言ったすべての人が離れていく。初めから知っていたのに。永遠を夢見てしまうのね、どちらも。
だからはっきり認めましょう。あたしはあたしのことが好きな人が好き。彼の言ったとおり。聖書に背いた生き方。
あたしうすうす気付いてた。多分好きだった人が離れてくんじゃなくて、ほんとはみんなはじめっからあたしのことなんてどうでもよかった。
好きなフリをしてただけ。好きだと勘違いしてただけ。彼ら自身も。珍しいことじゃない。好きって気持ちはそれだけあやふやだ。でもあやふやなのは程度の低い好きだけ。結局その外に出られなかった。
あたしが死んでもどうでもいい。このあたしが一番どうでもいい。
あたしはもう誰の片隅にもない。あの日気づくべきだった。だって彼女はあたしの名前すら忘れていたのだから。あたしは片時も忘れた事なんてなかったのに。
全部一方的だった。全部まやかしだった。
夏休み最後の日。故郷の海に行こうかな。ナルキッソスみたいで素敵な最後じゃない?
あなたがいなくなってから12年も経ったんだね。
あたしはあの日からずっと死んでたような気さえするよ。
佐藤君に何ができるの?
ううん、ぜんぶ口だけなのはあたしの方だったね。ごめん。でも今はどっちもどっちでしょう。佐藤君だってさ、ぜんぶ口だけじゃん。
そうじゃなかったら何ヶ月もほっとくわけないもんね。あんなに友達がいるくせに寂しいふりなんてしないで。あたしがよけい惨めになるから。
佐藤君は間違いなく良い人だと思う。あたしなんかよりずっと。でもあたしは佐藤君のことは好きじゃない。あたしを好きでいてくれるということを除けば。
だからあたしを好きじゃない佐藤君になんてぜんぜん興味ないの、もう。佐藤君だってどうせそうなんでしょ?もうあたしの作品にも、あたしにも、興味なんてないんだ。佐藤君にとってあたしは思い出の地。生きてる必要なんてない。しゃべるゾンビはいらない。そうでしょ?
どこで間違えたんだろうね。あんなメッセージ送らなきゃよかった?でもやっぱりそれもお互い様。佐藤君が先にあんなこと言ってきたせいでこっちも意識しちゃったんだよ。せざるを得ないじゃない。あたしにどうしろって言うの?受け入れたとしてその先に何があったの?
表面上は遠慮ばっかりのくせに、いちばん深いところを無遠慮にえぐってくる。何も知らずに。佐藤君ってずっとそう。あたしが何も言えないの、知ってるくせに。
佐藤君にとってあたしって何?都合のいい精神安定剤?落ち着いたら捨てて終わり?
ずっとそうやって使ってきたくせに、いまさら気遣うふりなんてしないで。そんなくらいなら利用された方がマシだよ。
ずるいよね。あたしのこと友達って言ったり親友って言ったり世界で一番好きな人って言ったり。ずるい。
佐藤君の期待に合わせて生きる義理なんてないけど、そう言われちゃったら、意識せざるを得ないじゃない。
佐藤君に嫌われたくない。そう思っちゃうことをやめられないじゃない。
でももうだめなんでしょ?佐藤君はとっくにあたしのことなんて飽きてる。あたしは終わった物語。佐藤君は他の人との物語を進めてる。
それならちゃんとさよならしてよ。こんな都合のいい関係もううんざり。
今度こそはっきり答えて。佐藤君にとってあたしって何?
佐藤君があたしを嫌いになったなら、佐藤君があたしの世界から完膚無きまでにいなくなってくれないとあたしは救われません。
でもそれは無理なのであたしがこの世界から消えるんです。
なにも見なくて済むように。
もう戻れないのかな。
手を伸ばせば答えはわかるかもしれない。でも伸ばすことが怖い。
伸ばさなければいつまでもわからないままでいられる。伸ばした先に何もないことのほうが、ずっと怖い。
佐藤君。
ありがとう。
何度も佐藤君を恨もうとしたけど、それだけは最後までできなかったね。
なんでなんだろうね。あたし、なんだかんだ言って、佐藤君のことちゃんと好きだったのかな。
もうわかんないや。それにいまさらどうだっていいよ。
だってもう永遠に戻らないのだから。
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