ぼくがかんがえたさいきょうの語学学習メソッド
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冷静に考えて、21世紀も四半終わりかけた2023年になっても「最強の語学学習法」が確立されていないのは馬鹿げています。
昔は「文法訳読法」というのが一般的な学習法として広まり、無事ラテン語など難しい言語を覚えられる人が沢山排出されていましたが、現代はそれを否定した割には特に形のある代案を持っていません。「スピーキングが大事」なんて抽象的な主張では確立されたメソッドとは言えない。もっとDocker環境セットみたいな、指示どおりに辿りさえすれば誰がやっても推定日時以内に充分な熟練度を会得できるみたいなメソッドがあるべきなんですよ。
だから、私が作ります。おれが裁く。
名前は特に決めていないので、仮に「藍式学習法」とでも言っておきます。
豪語します。指示に従えば絶対に言語を覚えられます。少なくとも私はなんもわからん状態からほぼ不便しないくらいまで行けました。
[!note]
藍式学習法が向いてる人
- できるだけお金はかけたくない
- ある程度時間がかかってでも、機械的にこなしていれば絶対に覚えられるやり方がいい
- できるだけ楽したい
ちなみに本メソッドは語学学習全般に使えるつもりですが、一番学ぶ人が多そうな英語を主な対象として話していきます。
大前提
語学学習において、大前提として覚えていただきたいことが2点あります。
1. 必ず長期で結果が出る
カスの受験TIPSみたいな使い古された言葉ですが、語学学習においてこの言葉は二つの意味を持ちます。
ひとつは、「一朝一夕でペラペラになる方法なんてねーよバーカ夢見んなボケ」ということ。
ふたつは、「言葉を覚えるのに才能なんて要らないから『自分は才能がないから絶対ムリ……』とか二度と思うな」ということです。
言葉を覚えるのに才能が要ったら10歳になっても母国語が喋れない奴がいるはずでしょ。そうじゃないんで。「長期的な努力をする才能」みたいなところまで含めるなら或いは必要かもしれないが。
さて、これを聞いた時点でもうやや挫け気味の人も少なくないでしょう。
現代の皆さんはinstant gratification(即効性の快楽)に骨の髄まで浸かりきった醜類(しゅるい)なので、時間がかかる努力などまっぴらごめんなのです。
しかし安心してください。長期といっても永遠ではない。まずは1年。1年で考えてみましょう。キツかったら半年でもいい。期間を区切るというのは大きな意味を持ちます。見えない目標に向かって走り続けるのは大変ですが、終わりがわかっていれば意外と頑張れるものです。できれば◯月にTOEICを受ける、みたいな明確なリミットをつけるとなおよいです。
バスケットボールのゴールは適当な高さにあるから みんなシュートの練習をするんだぜ・・・
あれが百メートル上空にあってみろ
誰もボールを投げようともしねえ
今のおまえがそうだ
届かないゴールに うんざりしているんだ・・・!
2. 復習ゲーである
考えてもみてください。皆さんは腐っても義務教育で6年近く英語を学んできたのです。だのに何故ほとんどの国民が英語を喋れないのか?決まっています。復習をしないからです。
例えば英語の授業でよくある単語テスト。単語帳や教科書のnページからnページまで、と指定されて、そこの単語から10コ出すよ~みたいなこと言われて、授業開始前に躍起になって詰め込んで、ものの数分のテストを受けて終わったら即忘却、みたいなことをやってただけじゃ本当に意味がない。人間は忘れるのだから。
しかし、逆に考えてみてください。もしあなたがインデックスのような完全記憶能力者だったら、語学学習というものがいかに児戯(ヌルゲー)であるか。
例えばあなたが毎日50単語を「視る」習慣をつけたとしましょう。1年後には語彙力2万語のスーパーバイリンガルの完成です。2万語あればTOEIC900くらいはとれるんじゃないかな多分。(一応言っておくと、2万語というとアメリカ人でいえば16歳くらいの平均語彙です。ネイティブ全体で見ればまだ全然低い)
何が言いたいか。シンプルに考えましょう。我々がなすべきことは、「完全記憶能力者に近づくこと」なのです。言い換えれば、「いかにして一度覚えた記憶のロスを減らすか」ということです。そしてそのために最も重要な技術が「復習」であると。簡単でしょう?とにかく、覚えたことを忘れないようにする。そこに全身全霊を注いでください。いくら水をバケツに詰め込んでも、底に穴が空いていたら意味をなしません。
[!sumnmary]
- 一日二日で地力を上げるのは不可能。長期的な視野が必須
- 才能は関係ない。必要なのは「正しい学び方(効率的な努力の仕方)」だけ
- 「復習」がすべてを握る鍵
語学学習における「地力」とは何か
一言であらわすのは難しい概念ですが、本講座は「単純化」をモットーにしているので可能な限りかいつまんでお話しましょう。
結論からいえば、それは「予測する能力」です。私は言語モデルの開発もしているので、人工知能がいかにして文章を生成するのかを知っています。そこで行われていることと、人間の脳で行われていることには大差はありません。
たとえば、以下のような文章を考えてみましょう。
あんな可愛い子を傷つけるなんて、君はなんて
あなたは、この後にどんな文が続くと思いますか?
ほとんどの人は「ひどいやつだ」とか「冷たい人だ」とか、「ネガティブな形容詞+三人称の代名詞+(語気助詞)」みたいな構成の文を思いつくでしょう。そうなんです、ほとんどの人が必ずそう想起する。では、これはどうでしょう?
How __ __ __ to hurt such a lovely girl!
提示されている問題は、言語が違うだけでほとんど同じです。しかし”眼”を持たぬ者には、さっきのようにスムーズに穴を埋められないのではないでしょうか?
これが「言語を知っている」ということの本質です。予測する能力。これはすべてをカバーします。たとえば、「鰆」という漢字を見てみましょう。あなたは読めないかも知れませんが、しかし意味を想定することは出来るでしょう。なんらかしらの魚なんだろう、と。それは何故?―あなたが経験則的に「魚」という編がつく漢字が魚を意味することが多いと知っているからです。さらに砕いていえば、
- 「魚編」の存在を知っている
- 「魚」という言葉の意味を知っている
- 「魚編」を持つ漢字がどういう意味を持つことが多いかを知っている
そのために”予測”が可能になる。これは英語でも同じです。接頭辞・接尾辞などのバリエーションが頭に入っていれば、また音韻論を理解していれば、初見の単語でも何を意味するのか・どう発音するのかという「予測」が立てられます。
無論、予測なので必ず当たるわけではありません。日本語にも「美人局」とか「女郎花」とか、知らなかったらどうあっても読めないし意味も想定できない言葉も多くあります。それでも、このシックスセンスがあるのとないのでは言語を学ぶハードルが大きく変わります。つまりさしあたってはこの「予測力」こそが「地力」であると私は定義する。
じゃあ、と。皆さん思うでしょう。「それはわかったけど、その予測力はどうつけるの?」と。
残念なお知らせなんですが、「予測力だけをつける」みたいな真似は出来ません。不可能なんです。何故なら予測力とは総合力によって生まれる力だからです。カルシウムだけをとっても健康にはなれないように、満遍なく栄養素を取らなければ培われない力。
とはいえ、「予測力を上げる上で最も効果的な学習」は存在します。先程あげた例を見ていけばわかると思いますが、それは「単語」です。単語は言語を構成する最小単位です。これを扱えなければ何もわかりません。故に、地力を固める上でまず最初にやるべきことは「単語暗記」です。
「え?文法はいいの?」と思うかも知れませんが、言語にもよりますが英語を想定するならまず単語からです。例えば、以下のような英文を想定します。
A smock-frock or smock is an outer garment traditionally worn by rural workers, especially shepherds and waggoners.
このとき、「初級的な単語しかわからないが、文法はすべてわかる」人にはこう見えます。
不定冠詞 名詞 または 名詞 は 不定冠詞 形容詞 名詞 副詞 受け身の動詞 によって 形容詞 働く人たち, 特に 名詞複数形 と 名詞複数形.
意味わかりませんね。では、「文法は何も知らないがすべての単語を知っている」みたいなピーキーな人が見た場合はこうなります。
(1つの) 仕事着 または フロック は (1つの) 外の 衣装 伝統的に 着られた によって 田舎の 働く人たち, 特に 羊飼い や 荷馬車の運転手.
はい。理解度が全然違いますね。
これはもちろん極端過ぎる例ではありますが、「単語」がより多くわかれば文章の隙間を埋める「予測」が効きます。英語のように比較的シンプルな文法を持つ言語では、力こそパワー、単語こそが最強の文法なのです。(?)
ステップ1:単語暗記
暗記と一口にいっても、ただシス単をループするみたいな話ではありません。そんな事は皆さんもう嫌というほどやらされてきたでしょう。そしてなんの成果も得られず単語帳は炉に焼かれていったでしょう。そしてあなたは世界を呪うでしょう。これでは、いけませんね。
単語学習のコツはたくさんありますが、そのすべては最初に提示した「忘れない力」に繋がっています。単語を暗記する上で最も避けなければならないのは「忘れてしまう」ことです。まずそれを回避することに全力を注ぐべきです。
というわけで、私が具体的な単語暗記のやり方を教えます。
1. 必ず「対象言語⇔日本語」でやる
ピンと来ないかも知れません。要するに、「りんご→apple」「バナナ→banana」みたいな日→英のみとか、「apple→りんご」みたいな英→日のみの暗記法はよくないということ。必ず両方やるようにしてください。
両方向の学習を行うことで、言語の相互関係や理解が深まります。これを欠かすと、読むことはできても書くことはできないとか、その逆が起こり得ます。
(ちなみに『日本語』と書きましたが、すでに英語を喋れる人でアラビア語をやりたい、とかの場合はアラビア語⇔英語とかでももちろんいいです。双方向であるというのが重要)
2. 見るだけじゃなくて書く(+できれば声に出す)
よく、英単語とその日本語訳を書いた暗記カードをペラペラめくりながら覚えようとする人がいます。滑稽きわまりありません。あんなものはほぼ意味がないです。必ず手を動かして書くようにしてください。あるいは億劫ならデジタルでタイピングでもいいです。脳科学的に言うとタイピングよりは手書きの方が記憶は定着しやすいんですが、アナログでやることによる手間というデメリットもあるのでそのあたりはトレードオフです。個人的には、拡張性の高さとテキスト読み上げによる発音確認を使えることを鑑みてデジタルでの学習をおすすめします。自分はそうしました。
話を戻すと、書く、というのはつまり、「【名詞】興奮」とだけ書かれた問題文を見て、「excitement」と自分で”書く”ということです。
「【名詞】興奮」のカードの裏をめくって「excitement」を”見”て、「うんうん、知ってるぞ!よし次だ!」ではダメです。理由は明白で、スペルがきちんと覚えられないからです。「薔薇」とか「憂鬱」とか、読めても書けない漢字なんてザラにあるでしょう?英語でもあれと同じことが起きます、確実に。
ただ、見て覚えるやり方が全面的にダメというわけではないです。それ”だけ”ではダメということで、特に英→日に関しては意味を完璧に当てて”書く”というのは難しいのでこの方法でもOK。
さらに英単語を発声すると、記憶定着率UP+発音も覚えられてグッドです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7b27546493417f92d673a2d8988073f429c1330d
3. 忘却曲線を意識して復習する
たとえば、一日に同じ単語を10回ループ暗記して「よし!これで忘れないだろ!次新しいの覚えよっと!」とかやってる人がいたら今すぐやめてください。意味ないです。一日に何度同じ単語を暗記しても”忘却”の魔物に抗う力はほとんどありません。継続的な学習が一番大事です。
以下の教授も語られていますが、人間の記憶が最も強力に定着するのは「思い出す」というアクションをしたときなので、その頻度を増やすのが最も効率的になります。
https://www.youtube.com/watch?v=wdT5j3Ig8so
忘却曲線といっても、そんなに難しい話ではないです。脳神経科学の専門家によれば、忘却曲線に基づいて、1回目が翌日、2回目がその1週間後、3回目がその2週間後、4回目がその1ヵ月後、5回目がその2ヵ月後、とするのが理想的な復習のタイミングと言われています。これに従って復習するだけです。
4. 例文を見る
例文を見る。この重要さを忘れている人があまりに多いです。単語とは実際に使われるピースであり、博物館に飾られている展示物ではないのです。
たとえば、avengeの意味を辞書で引くと「(正当な)仕返しをする、復讐をする、仕返しをする」とあります。しかし、これを文字通りに受け取って暗記してしまうと、「俺は必ずトムに復讐する」と言うつもりで以下のような文章を書いてしまうことがありえます。
- I will avenge Tom for sure!
しかし、avengeは人を直接目的語にとる際は「~の敵を討つ」というふうに使われるため、上記例文では「俺はトムの敵を討つ」という意味になってしまいます。これでは、いけませんね。
しかし重要なのは、この文を書いてしまった人は暗記帳の上ではまったくもって正しくタスクをこなしているということです。「avenge=復讐する」というデータだけでは上記のミスを避けることはできません。
では「avenge=復讐する(注:目的語が人の場合は「敵を討つ」という意味)」と追記すればよいのでしょうか?初級単語ならそれでもいいかもしれませんが、こういうニュアンスの記述を考えるとキリがなくなります。
故に、単語を覚える際は必ずそれを使用した例文を確認して具体的な使い方を見ましょう。これ超大事。
5. 複数の意味を確認する
上記とも少し関連するのですが、殆どの英単語は複数の異なる意味を持ちます。
例えばclipという単語の意味を知ってますか?そうですね、クリップ・留め金のことですね。では、その知識だけで以下の例文が訳せるでしょうか?
- He was driving down the highway at a blistering clip.
正解は「彼は高速道路を猛スピードで走行していった。」です。
ここでのclipは「(速い)速度」という意味で使われています。これは「留め金」のイメージからは逆さに振っても予測できません。
このように、割とよく見る単語であっても実は知りもしない意味が隠れていたりするため、複数の語義を確認してそれらをまとめて覚える事は重要です。あまりに使用頻度が低い語義は多少軽視してもいいですが、できるだけ多くの用法を内包するようにしましょう。
ちなみに、単語帳に設定する「意味」には必ず「品詞」を入れておいてください。たとえばpracticeという単語の意味を、
「練習、実践、練習する」
と書いて、ヨシ!としてたらダメです。必ず以下のように書きましょう。
「[名]練習、実践 / [動]練習する」
日本語は品詞の境目が曖昧なことが多いので、品詞を書くのを忘れると特に形容詞としても動詞としても使えるみたいな単語の時地獄を見ます。暗記するからには語義は完璧に!
6. 英英辞典を使う
最初のうちはしょうがないですが、ある程度その言語の理解が深まった人は「英和辞典」ではなく「英英辞典」を見るようにしたほうが絶対にいいです。英英辞典とは即ちメリアムウェブスターとかケンブリッジ辞書とかのことです。言葉の意味は元の言語で説明されているものの方が確実に正確かつわかりやすいです。
英和辞典で有名なのはweblio辞書ですが、あれがいかに適当で不正確で横暴であるかは早めに理解したほうが良いです。この辺見ればわかるんじゃないでしょうか。
https://ejje.weblio.jp/content/youwish
英和で一番優秀なのは英辞郎ですが、あれでもカバーしきれているとは言い難いので早めに英英辞典を読めるようにしましょう。
具体的な単語学習法
それでは、具体的な単語学習法の一例をあげます。
- まず20単語くらい(ここは個人によってお好みの量)英単語を選ぶ。
- 英単語・意味のセットを順番に暗記していく(見る・聴く・読むなどで)
- 1ループ終わったら、もう一度同じ単語セットを、(できれば順番はシャッフルして)「意味」だけ見てそこから単語を思い出して”書く”。
- 思い出して書くことができた単語の「正解カウント」を+1する。失敗したものは+0。
- ここで一日目の学習は終わってもよい。余力があれば、できれば3時間以上間をおいて、もう一度「意味」から単語を思い出して書くという1ループをやる。
- 何日か上記をやって、正解カウントが5を超えたものは一度暗記リストから外す。これは「成熟度1」となる。このとき、その単語が成熟度1になった日時を記録しておく。
- 単語の正解カウントが5を超えたものが半分以上になるか、初日から5日が経過したら、+10単語追加。初見の単語は手順2と同じく暗記し、初見以降は”書く”やり方にシフトし20単語ループ。
- 以上を繰り返し、自分の余裕度を見つつ足す単語量とかを調整し、単語をどんどん覚えていく。
- 成熟度1の単語の記録した日付から1週間以上たったら、その単語を暗記用セットに再度追加する。「意味」から思い出して”書く”ことに挑戦し、成功した場合は成熟度2へ。失敗した場合は成熟度を1段階下げる。この場合は0になるのでもう一度正解カウント5になるまでやり直し。
- 成熟度2は2週間後、3は1ヶ月後……というふうに忘却曲線に従って再暗記のタイミングを入れつつ、単語をどんどん覚えていく。
わかりにくいかな?まあぶっちゃけこのへん私は自作ソフトで機械化してるので考えなくていいんですけど。
「順番をシャッフルする」のは地味に大事です。機械学習でもそうなんですが、順番がずっと一緒だと関係ないところで連想式に次の単語を思い出せてしまうので。ただこれは「単語の並び」が記憶呼び起こしのキーになっているだけで実戦になると意味を持たないトリガーになるため避けた方がいいということ。
あと、このやり方は当然覚える量がどんどん増えていくんですが、どれだけ増えても一日に覚える量は復習含めて200単語までにした方がいいです。これ以上は身体が持たないと思う。
とりあえず、以上の単語暗記を1500単語くらいやってください。この最初の1500単語は、できるだけよく使われる簡単かつ基礎的な単語にすべきでしょう。ここまでの想定修了期間は3~4ヶ月です。
ちなみに、初級はこのやり方でいいんですがある程度上級者になるとこれだけでは覚えられなくなるタイミングがやってきます。たとえば「smock」という英単語を見てみましょう。辞典だと意味は「上っぱり、スモック、作業服、仕事着」と書いてあります。ここでみなさんが頭に浮かべたsmock像と、実際のsmockはおそらく乖離します。
https://en.wikipedia.org/wiki/Smock-frock
このように、特に名詞で顕著ですが、「日本語の説明だけではイメージがつかないもの」というのが続々出てきます。こういうときは必ず画像検索をしてイメージを固めてください。
ちなみに「単語」学習ではまったく予測が効かない分野もあります。それはイディオムです。「fat(太った)」と「cat(猫)」を知っていても「fat cat(金持ち)」の意味は導けません。これは単語とは別に熟語帳みたいなものを作って学習しましょう。知らない熟語に出会ったら手当たり次第にメモしておいて暗記帳に加えることをおすすめします。……つまり最大で単語200+熟語200の400暗記ループが発生する事がありえますね。私は昔これを毎日やってました。甘えるな。早ければ1時間くらいで終わると思うよ。
ステップ2:文法学習
とりあえず1500単語くらいが覚えられたら、文法にとりかかりましょう。
正直言って文法に関しては、私は定量的なメソッドを提供できそうにありません。それは皆さんが「どうやって日本語の文法覚えたの?」と聞かれた時と全く同じファジーさを持ち合わせているからです。
とりあえず無難なのは教本を買うことです。私や他の英語つよい勢がよくオススメしていたのは「中学校3年間の英語が1冊でしっかりわかる本」という教本ですが、最近はもっと優秀な本が出てるかも知れないので各自調べてみるのもよいでしょう。できるだけ包括的に学べるものがよいです。
また、学んだことは自分でノートに書き留めておくと良いです。自分なりに覚えやすい方法で。私もこんな感じでよくやってました。
よみがえる文法訳読法
文法訳読法は、外来語の教授手法。古代ギリシア語やラテン語を教える際に使われていた古典的(伝統的)手法から派生した。
訳読法の教室では、生徒たちはまず文法を学び、母語と学習する言語との相互翻訳に適応することを試みる。覚えのよい学生は教科書一冊分をまるごと翻訳することを求められることもあった。
この手法には、主な目的がふたつある。学生に対象言語で書かれた本を読み翻訳する力を身に着けさせること、そして学生の一般的な知識向上である。ラテン語を教える際の方法から生まれた。16世紀前半、学生はコミュニケーションの手段としてラテン語を学ばされたが、ラテン語が使われなくなるにつれて純粋に学問的な修練を目的として学ぶようになった。19世紀に教師たちが他の言語を教えるようになった頃も、ラテン語を教えるときにはこの翻訳を中心とした手法が用いられた。
今はなぜか批判されてるメソッドなのですが、少なくとも読み書きや文法理解においては非常に優秀なやり方です。なんでもいいので翻訳の練習をしましょう。おすすめは好きな曲の歌詞の相互翻訳をやってみることです。聖書とかを訳すよりはモチベ上がるはず。
翻訳といっても、初心者のうちはどう文章を紡いだらいいかまるでわからないと思いますが、「こういう表現をするにはどうしたらいいかな?」と詰まった所を片っ端からグーグル先生に聞いてひぃひぃ言いながらでもやってみましょう。かなり身になると思います。
写経
また、写経も非常に効果的です。「不思議の国のアリス」などの著作権切れ小説がGutenbergというサイトで読めるので、内容を逐一自分で書き写してみましょう。使いやすいフレーズなどが頭に入ってグッド。
言語の「性格」を理解する
信じられないかもしれませんが、言語には「性格」があります。「この言語はこういうことをしたがる」という傾向があるのです。最も分かりやすい形でいえば、日本語は婉曲的で英語はストレートになりがちというのは皆さん何となく分かると思います。そういう”何か”です。これは学習を進める内に徐々に掴めてきます。
私は英語をよく「距離の言語」と言います。他に言ってる人がいるかは知らない。距離の言語とはどういうことかというと、時間も空間も丁寧/無礼も何もかもが「距離」という一律の概念で支配されているということです。
can you~?よりcould you~?の方が丁寧なのはなぜか?仮定法で「if ~, I could have」みたいになるのはなぜか?みたいな疑問は、すべて概念を距離に変換することで理解出来ます。
canは現在形、couldは過去形。現在より過去の方が今より「距離」が遠いですね?つまり、離れている。この「離れている」というのがそのまま「直接的(無礼)⇔間接的(丁寧)」の概念に置換されているのです。仮定法も同様。「今」から距離を離すことで、これは仮定の話であるという意思表示をしている。
他にも、leave!→I want you to leave→I’m going to have to ask you to leaveみたいな具合で、アクションからの距離を離せば離すほど丁寧さが増します。これが英語の性格のひとつです。
あと、英語って同じ単語の繰り返しをものすっごく嫌います。BBCニュースとか見てるとよくわかりますが、同じ対象を意味するために頑なまでに毎回別の単語を用います。「なぜ?」と言われると、それが英語の性格だからです。こんな感じで「言語の性格」の輪郭を掴んでいくと、最初に言った「予測力」があがっていきますよ。
例えば、英語には同じ意味を持つ単語というのが山ほどあります。ちょっと引くくらいあります。例えば「窒息させる」だけでもstrangle, choke, stifle, suffocate, smother, asphyxiate, strangulate… などなどあります。多すぎだろ。しかもこれらの単語、ほとんど「窒息させる」以外の意味で使いません。これだけ同義語が多いのは、同じ単語を繰り返さずに済むように置換候補を大量に用意しているということです。本末転倒な気もしますが、英語ってそういうやつなの。
リスニング・スピーキング
日本人にとって最も難しいのはここです。スペイン語とかインドネシア語ならまだマシですが、英語とかになると構成要素である音声の機能がまるで違います。では、これはどうすれば解決するのか?
幸いにも、これは非常に簡単に解決します。答えは、「ひたすら聴け/ひたすら喋れ」です。
残念ながらこれ以外にありません。本当にないんです。信じてください。しかしこれは逆に言えば希望です。ひたすら聴いてさえいれば、ひたすら喋ってさえいれば、確実に徐々に能力は上がっていきます。
「嘘つけ!俺は上がらなかったぞ!」と思う人もいるかもしれませんが、それはスピードラーニングみたいな甘美な誘いに単語力も文法力もゼロのまま挑んで意味不明な暗号を聞き流しているからです。ステップ1の単語暗記とステップ2の文法学習を適切にこなし、少なくとも書面上である程度の理解ができる段階になった人がリスニングを鍛えれば必ず少しずつ聴き取れるようになります。
スピーキングにしてもリスニングにしても一番手っ取り早いのは英会話を始めてしまうことですが、ハードルが高いという人も多いでしょう。幸いにも最近はAI技術が発達しており、人の手を借りずともこれらの課題をクリアする方法があるようです。
知人がオススメしてたんですが、このアプリでスピーキング・リスニングについてはほぼ完備出来ると思います。
特筆すべきはリアルタイムフィードバック機能です。かなり精度のいい音声認識で自分の声を聴き取ってくれ、その内容が自然だったか・そうでないならどう直せばより自然に聞こえるかを逐一教えてくれるのです。
画像例のような明確な文法ミスだけでなく、文法はあってるけど言い回しがちょっと不自然みたいなのも教えてくれるので大変優秀です。
まあ、有料なんですけど。価値はあると思います。完全無料でやりたい人はLingbeやVRCでどうぞ。
その他小技
記憶が定着しやすい勉強時間
研究によると、”寝る前”と”起床直後”にそれぞれ勉強をすると記憶が定着しやすいそうです。
https://www.asahi.com/articles/ASQ1B5CYBPDNTIPE00C.html
https://toyokeizai.net/articles/-/391161
同時に睡眠時間もしっかりとるようにしましょう。睡眠は記憶定着の上で欠かせない重要なファクターです。最低でも7時間半は寝るようにしてください。
接頭辞・接尾辞の意味を意識する
単語学習に関連するのですが、これは正直意識的にやるのは結構難しいとは思います。学んでいく内に感覚的にわかっていくことなので。しかしこれを掴めると言語がグっとわかるようになります。
大体の言語には接頭辞や接尾辞というものがあります。たとえば英語なら、ex-とかdis-とかin/un-とかそういうやつです。ex-は「外に」、dis-は否定や反対、in-は流入・またはunの派生で「not」の意味……などなど、パーツごとに無数の意味を持ちます。その特徴が分かれば、漢字の部首のように「予測」が随分と楽になるのです。
英語の場合でいえば、かなりの数の単語がラテン語やギリシャ語など他言語を由来としているので、そこの語源を辿るとイメージがつかみやすいですよ。
友人の存在
これは人によってはどうしても用意できないと思うので言うのが憚られるんですが、語学学習を劇的に楽しく・効率的にしてくれるのはネイティブの友達の存在です。英語を勉強したくば英語が喋れる友達を用意しましょう。そしてその人と英語のみでやり取りするようにしましょう。気のおけない相手なので間違えないかビクビクする必要はないですし、毎日のように会話を交わしていると劇的に英語力が上がっていきます。
とはいえ、最近はAIが発達してきたのでチャットボットと会話するのもありでしょう。特に英語に関してはチャットボットはほぼ文法を間違えないので大変勉強になると思います。
裏技
ここまでの話を聞いても、ダル~笑としか思ってない人もいるかも知れません。仕方ないのであなたがたにとっておきの裏技をお教えしましょう。
エロ本を、学びたい言語で読んでください。エロ小説でもいいです。日本語版が存在しないものがいいです。そうすれば君は躍起になってそれを解読しようと努めるはず。英語でいうとLiteroticaなんてどうでしょう。英語版ハーメルンみたいな場所でエッチな小説が沢山あるぞ~~!!
なぜこのやり方を勧めるのかというと、モチベーションの維持において性欲ほど強力なものはないからです。
- 学習に関しては、馬に釣り下げるニンジンのように「エロ・性欲」を餌にするとうまくいく。
- なぜなら
- 本能的欲求を利用するため、モチベーションが途切れるということが限りなく少ない
- 本能的欲求
- 食欲や睡眠欲ではだめな理由
- 食欲は料理とかにはできるけど、それ以外にはほぼ適用できない。 睡眠欲も同様。汎用性が低い
- 性欲はほとんどのクリエイティブな行いにエネルギー転換できる。プログラミングであっても、絵であっても、小説であっても、語学学習であっても
- 食欲や睡眠欲ではだめな理由
- エロ人参法のキーポイント
- ==何事も「習慣」になるまでに必要な日数|習慣づけまで持っていけば勝ち==
- 習慣づけさえ完了してしまえば『努力』は不要。つまりどんな手を使ってでも習慣づけのゾーンにもっていくことが重要
- これはそのための一助
支援ソフト
単語暗記の補助をしてくれるアプリやソフトフェアはたくさんあります。どれが一番いいのでしょう。Anki?PssEditor?Duolingo?Quizlet?どれも違います。ずっと隠してきましたが、これを読んでいるあなた方だけに正解をお教えします。
正解は、「Parthenon」です。
https://forest.watch.impress.co.jp/article/2007/08/31/okiniiri.html
https://www.vector.co.jp/soft/win95/edu/se363478.html
断言します。無料で使える範囲なら間違いなく最強の語学学習ソフトです。
忘却曲線の搭載、やるたびに変わる問題出題形式、発音機能、語源の詳細な説明、同義語・派生語などのリスト、フラッシュ暗記じみたボーナスゲームなど英単語を覚える上でこれ以上ないほど適切な勉強ができます。
エクセルを使って自分で勉強したい語群を作成できます(しかもそれを自動でクイズにしてくれる+語源や派生語などを自動で設定してくれる)。
欠点があるとすれば、冗談抜きでこの地球上で私以外に誰も使っていないということくらいでしょうか。なぜ?
まあ、めちゃくちゃ古いソフトな上に一応シェアウェアという括りで自作のワードセット以外は7日間しか使えないという縛りがあるのでとっつきづらいのは間違いないです。あとサポートもとっくの昔に切れてて作者のホームページはリンク切れです。「動作OS:Windows XP/Me/2000/98」という記述でその化石っぷりがわかると思います。
しかしそれを補って余りある優秀なソフトです。使いましょう。
ただし、本ソフトは主に英語用に作られているため、アルファベット26字以外の特殊文字を使う言語は軒並み向いてないです。フランス語・スペイン語などはもちろん、ロシア語、韓国語、中国語とかもダメですね。そこは別ソフトを使いましょう。インドネシア語とかオランダ語とかならParthenonでもいけます。
結論
- Reading & Writing: 単語暗記と文法訳読法
- Speaking & Listening: https://www.speak.com/jp や英会話、リア友でカバー
- モチベ維持: 性欲をガソリンにする
これで丸く収まった。完璧です。明日からあなたもネイティブです。(そんなことはない)
繰り返しになりますが、とにかく「復習」を継続してください。正直これが一番大きい要素だと思います。一度覚えたことを忘れない、絶対に。言うほど簡単なことではないですが、脅すほど難しいことでもないです。習慣づけさえしてしまえば後は無敵。
ちなみに、ロンドン大学のフィリップ・ラリー博士らの研究によると、人間が何かを「習慣づけ」させるのに必要な日数は18~254日(平均66日)らしいです。簡単な習慣なら三週間程度で、難しめの習慣は8ヶ月くらいかかるとか。
大事なのは長期的な視野。とにかく一年やそこらでネイティブになろうとは思わないこと。一年あれば確実に上達はしますが、百年やろうが日本人が別言語の「ネイティブ」になることはできません。TOEICでもIELTSでもなんでもいいので適当なテストで「目標」を作っておいて、そこに向かって努力するのが一番わかり易いと思います。
勉強時間も毎日何時間!とか使う必要はないです。1時間あれば上等くらい。「継続できるペース」でやることをとにかく考えてください。
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