全曲レビュー米津玄師-part1
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やる事もないし、個人的な現在の彼への思いを纏めておくのも良いかと思ったので全曲レビューをしてみる。本当の意味での全曲レビューだ。「米津玄師名義」で発表されたすべての曲をレビューする。全何曲だったか、多分60~70曲くらいだと思う。とりあえずpart1。できるだけ時系列順。
「diorama」
1.街 ★★★
正式発表前は「降る朝」という曲名で、メロディも微妙に違っていた曲。
実にこの頃の彼らしい曲調だなぁ、という感じ。後半の狂ったギターとか、多分今ならやらないだろう。
dioramaというアルバムの持つ独特な世界観の幕開けとしては上出来だろう。日が昇ってくる感じ。
ただ少し単調な印象を受ける。
2.ゴーゴー幽霊船 ★★★★★
強いMV引っ提げて殴り込みをかけた曲。ま~~強い。納得の強さ。
僕が米津玄師を知ったのもこの曲がきっかけだった。「ハチ」なら昔から知ってたけどね。
「diorama時代が一番好き教」が生まれたのもこの曲が一役買っているかもしれない。
とにかくでたらめにノリのいい曲調と、光る言葉選びのセンス。独特なMV。スキなし。中毒性高。
とはいえ基本的に歌詞はでたらめなので語ることもない。そもそも米津玄師名義でのデビューを踏み込んだ理由が「VOCALOIDを隠れ蓑にしたくない」だったので、俺は米津玄師だ、という思いを節々に感じる、ということくらい。「知って欲しいんだ全部そう」とか「見えない僕を信じてくれ」とか。
3.駄菓子屋商売 ★★★★
これも中毒性の高い曲。初めて聴いたらしばらくこれしか聴けなくなるんじゃなかろうかというくらい。
なんとな~くハチ時代の「不感症信号機」っぽい雰囲気を感じる。跳ねるリズムが似ているからか。
ハイライトは「チュー↑」の一気に上がる所だろう。ここが一番強い。この楽曲の良さを際立たせている。
余談だが、この曲で多用されているVII7→IIImという進行は彼の他のノリの良い楽曲でもよく使われている。
最近の曲だと「LOSER」とかも似たような進行がある。彼の特徴の一つと言っても良いかもしれない。
今更ながら、基本的に星はだいぶ直感的に付けている。瞬間風速ならゴーゴー幽霊船よりこっちの方が高いかもしれないが、曲の出来全体としての話。
4.caribou ★★☆
昔ハチ名義で投稿していた「Pandora chess box」という曲のリメイクと言っていいだろう。歌詞も似たようなもの。
歌詞は当時の彼女と喧嘩した時の事を思い出して書いたらしく中々キレがあるが、曲は正直単調。
ただ、Aメロが単調な分サビの解放感はあるかもしれない。浮遊している感じ。どことなく不穏。
ともかく歌詞が好き。「くだらないな、自分の事だけ処理しきれたならそれで良いんだろう?」の吐き捨てるような歌い方は注目。
5.あめふり婦人 ★★★★★
これです。今の彼では絶対に作れないであろう曲のひとつ。今となっては幽霊船より断然よく聴く。
荒削りながら最も米津玄師の才覚が前に出ている曲だと思う。ごめん4曲目にして最もは言いすぎかも。
何をどうしたらこんなに乗れる曲を作れるのか、ともかくノリノリになれる。その一点が何より強い。
不協和音気味の間奏や終盤でひたすらリフレインされるサビもそうだが、なにより音にカチリと当てはまった歌詞がすごい。米津玄師は基本的にメロディ先で歌詞が後らしいが、よくもこう邪魔にならずうまく音の魅力を引き出せるものだ。
6.ディスコバルーン ★☆
こんな星数だが、dioramaを初めて通して聴いた時はこの曲が一番好きだった。
これも米津玄師の面白いところで、長~く聴き続けると好きな曲がかなり変わってくる。
一番評価を下げているのが、「ハチで良くないかこれ」という感覚。パンダヒーローの二番煎じのようなサビ。
ともあれ歌詞はおそらく彼の楽曲でも有数の攻撃性で、のっけから「嫌いだ 嫌いだ あなたが嫌いだ」と入るのは中々衝撃的。
この後も延々と皮肉の効いた罵倒が続き、caribou→あめふり婦人と暗い曲が続いてこれなので無限に気分が落ち込みそうだ。
7.vivi ★★★★★
あ^~いい(素)。これこそ、今の彼では絶対に作れない曲の代表といえるかも知れない。
色々とこの曲への想いはあるのだが、まさしく歌詞の通り書くことなどひとつもない。
ちょうどのものがひとつもなく、無理に言葉にすると嘘になり汚してしまう気がする。とにかくよい曲。
こういう曲調のものはハチ時代には無かった気がする。いや、ハチ時代もバラード系の曲は良く上げていたが、これはそのどのパターンにも属さないというか。強いて言うなら沙上の夢喰い少女がちょっと近いかなぁくらい。
8.トイパトリオット ★★★
これもハチ時代の曲「Toy Parade」のリメイク。dioramaには過去曲の再利用が多い。
一番強いのはイントロのメロディ。うまく言えないがこう、浮かぶよね。パレードのような光景が。ちょっと民族音楽っぽい?イントロだけね。明るいのにどこか切ない。歌詞はちょっとBUMPっぽいかなぁという気もする。おそらく彼が一番影響を受けているアーティストなので当然っちゃ当然かもしれない。最後のパトリオットの独白のような歌詞が好き。
9.恋と病熱 ★★★★★
これが米津玄師なんだよなぁ……。ううん、さっきからベタ褒めな気がする。まずいか?
正式発表前の恋と病熱(仮)とは、メロディと歌詞が結構変わっている。初期版の方は「乾涸びたバスひとつ」との繋がりがより色濃くなっていた。余談ですね。
モチーフは宮沢賢治の詩「恋と病熱」。本人がそう名言していた気がする。この楽曲に限らず、彼はかなり宮沢賢治の影響を受けている。
個人的には聴けば聴くほど味が出る曲だと思う。初視聴のインパクトはそこまで無いかも知れないが、聴き続けると良さがよ~くわかってくる。繰り返される「愛していたいこと 愛されたいこと」というテーマ、「赦し」と「許し」の使い分けなど中々細かく作り込んである。
10.Black Sheep ★☆
まっ なかなかイインじゃあねーの~っ イイよ かなりイイ。
これもディスコバルーンと同じく初視聴ではトップクラスに好きだった曲。
良い曲っちゃ良い曲なんだが、テーマ性が薄く特筆することがない。
実はこの曲のラストサビ(?)が現時点での彼の全曲の中で最も音程が高いということくらい。
11.乾涸びたバスひとつ ★★★★☆
「恋と病熱」とセットのような曲。本当にどこまでも優しい曲で、一瞬別のバンドかと聴き紛う。
dioramaの中では最も彼の言葉選びのセンスが光っているかも知れない。絵本を読み聞かされているような感じ。
「ふたりは共犯者になって」「ボタンちぎって笑ったこと」など、その情景が浮かぶようなノスタルジックな歌詞。いや~うまい。
特筆すべきはCメロのシャウト。これはVOCALOIDでは出せない。ハチが米津玄師に成った瞬間と言って良いかもしれない。
12.首なし閑古鳥 ★★★★★
「乾涸びたバスひとつ」でアルバムが一つの区切りを迎えたような感じがありませんか?あるよね。
というわけで所変わってのこの曲ですが、僕はこれが米津玄師の曲で1、2を争うほど好き。
モチーフは「首なし鶏マイク」。明るい曲調で暗い歌詞を歌うもんなのでその悲痛さがよく伝わってくる。
「何とも歪な形で生まれて為す術なんてなかったけど あなたによく似た心があるのさ それさえ確かであればいい」
という歌詞よ。ここらへんはケチのつけよう無く天才だと思う。彼がdioramaを出した当時は一瞬でオリコン1位になると思ったらしいが、それも頷ける。実際には6位と惨敗だったらしいが。
歌詞があまりにも強いのでそこばかり目立つが、曲の方もなかなかすごい。「ないけれど~」のあたりのメロディとか思い切りスケールから外れていてクール。裏の金物のカラカラとした音も祭りっぽくてよい。
あと、実は裏のアコギがずっとヤバいメロディを繰り返している。オケで聴いてみたい。
13.心像放映 ★★★★★
だめだこれ、神アルバムか?★5ばっかじゃねぇかお前ん家。いやしかし、これは…本当にすごいから。
「米津玄師の曲で一番好きなのは?」と聴かれて一番最初に浮かぶのは多分この心像放映だろう。
本当に好き。好きすぎて2つほどアレンジを作ったくらい。
いや……もう長くは語るまい。聴いてみればわかる。米津玄師の真の才覚。君の耳で確かめてみよう!
あ、この曲はコードが簡単で弾き語りがしやすいのでお勧めです。
14.抄本 ★★★
ああもう終わりか。ええと、「抄本」という言葉をわざわざ引き出してきたのがすごいと思う。
抄本て。めったに使わないでしょう。しかし曲にはぴったり当てはまる感じ。
イントロのほ~お~みたいな声は実はゴーゴー幽霊船でも使われている。
「街」のED版みたいな感じというくらい。特に言うことはない。なんだかおもちゃ箱のような独特な雰囲気でセンスを感じる気もするが、実はこういう類の曲は割と簡単につくれる。
「サンタマリア」
1.サンタマリア ★★★★
珍しく思いっきりバラード。ローテンポ。
米津玄師お気に入りの曲。多分彼的にはこの曲が一番好きなんじゃないだろうか。
実はコレも過去曲のリメイクらしい。「埃被りの小さな童話」という曲が元とのこと。
初めてMVで顔を出したり、この曲の絵本を自作したりと、かなり込められた想いが強いようだ。
dioramaの米津玄師は閉鎖的でYANKEEで一気に開放的になる、というイメージがあるのだが、
これはそのつなぎ役のような存在なのだろう。つまり変化の真っ最中。第二形態への架け橋。
なんとなく賛美歌のような感じ。歌詞カードを見るとわかるが、言葉の並びの美しさがすさまじい。
これもスルメ曲的な位置だろうか。
2.百鬼夜行 ★
2015年あたりで「米津玄師の曲で一番嫌いなのは?」と言われたら、止む無くこれを上げるかも知れない。
色々と「もうちょっとやりようはなかったのか」と思ふ。テーマは悪くないんですけど。
最後の「ちゃんちゃらおかしな世の中だ~」からの歌詞はかなり好き。
3.笛吹けど踊らず ★★☆
全打ち込みとのこと。裏の一オクターブ低い歌声が映える。
歌詞は極めて分かりやすい。物語調。まあ風刺のようなものでしょう。
途中から酔っ払ったような歌い方になるところがあるのだが、そこが一番面白い。
彼の曲の中では後ろを見ても先を見てもけっこう異質な曲。やはり全打ち込みなので雰囲気自体がけっこう浮くね。
実は弾き語りすると化けるんじゃないかと思っている。
はあ~~~。とりあえずこのへんまで。
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