トキポナの覚え方
この記事を閲覧するにはアカウントが必要です。
STEP 1: 公式(pu)単語をすべて覚える
Quizlet、Anki、Mermise、ツールは何でもいいので、120~125単語すべて覚えて下さい。ポケモン151匹より少ないくらいなのでさほど難しくないと思います。飲み込みの早い人なら1時間もあれば覚えられるでしょう。唯一注意して欲しいのは、できるだけ「公式の辞書」を使うことです。Quizletでそこら辺に転がっている暗記カードは含有できる意味が欠落しているものが多いです。Sonja著の「Toki Pona: The Language of Good」に沿って覚えるのが最も望ましいですが、それが不可能な場合、現状だとmemriseが最も正確な辞書を保有しているので、こちらでの暗記をおすすめします。
app.memrise.com
コツなど必要ないほどの簡単な作業ですが、強いてコツを教えるとするなら、「p」を「f」に脳内で変換すると覚えやすいのが二つあります。pilinとpiniです。これらは英語のfeelingとfinishから取られていると考えましょう。anteはantiから連想するとよいです。
トキポナのありがたい所は、単語数が少ないということは「同じ単語が何度も繰り返し使われる」ということなので、使用頻度の高い単語に関しては一度覚えればそうそう忘れないということです。語学学習は復習にとにかく時間を取られるのが常ですが、トキポナに関してはその呪いは適応されません。数百文字のトキポナ文を読むだけで自然とほぼすべての単語の復習が完了するからです。
STEP 2:文法を覚える
上記と並行してやってもいいですが、ひとまず全単語に目を通してからでも遅くはないでしょう。文法と言っても覚えることはさほど多くありません。構造は英語と同じくSVOです。
1. mi と sina 以外の主語を使う時は、常に動詞との間に「li」が必要。
mi lape.(私は寝る)
ona li lape.(彼は寝る)
間違えやすいのが、たとえmiやsinaが主語であってもそれに形容詞がついている場合はliがつきます。特にmi muteのli抜けが非常に多いので注意しましょう。
mi mute li lape.(私たちは寝る)
2. 形容詞は後置修飾。piを入れない限りはすべて直近の名詞に順番にかかる。
mi tawa tomo telo nasa.
上記の文はおそらくトキポナ文で最も有名と言っていい間違いの例です。この文を書いた人は「私はバー(居酒屋)に行く」と言いたかったのですが、形容詞はすべて直近の名詞に順番に掛かるというルールのため、「私は狂ったトイレに行く」という意味になってしまうのです。tomoの次にteloが来た時点で「tomo telo(トイレ)」が確定しているので、その後nasaが来てもteloと合体することはできないのです。この事態を避けるために使うのがpiです。英語の「of」とほぼ同じような用法と考えていいです。
mi tawa tomo pi telo nasa.(私はお酒の家(=バー)に行く)
ただ、崩壊を避けるあまり不要な所にpiを置いてしまう人が多いようです。形容詞が1つしかない時はpiは不要なので注意しましょう。また、形容詞が2つ以上であっても、順番にかかったときに問題がなければpiは不要です。
ni li tomo tawa kon.(これは飛行機です)
3. 動詞の次に目的語を置く場合は、目的語の前にeを置く。
英語の感覚でやっている人が間違えやすいのは、SVCの形でeを置いてしまうことです。主語=目的語の時はeは不要なので注意しましょう。また、lon, kepeken, pokaなどを前置詞として使う場合もeは不要です。
mi wile moku e telo. (水が飲みたい)
mi toki kepeken toki pona. (私はトキポナを話す)
kepekenは少し扱いが厄介で、上記の文では「with」と同じような働きをしているのですが、動詞として「使う」という意味も持つため、その場合は目的語の前にeが必要となります。ある程度慣れたトキポナ話者でも間違える事があるので注意しましょう。
4. laは「if…, then」「when」「in the perspective of」のいずれかを指す。
トキポナの単語の中で最も多様な意味を持つのがlaです。用法は多いですが、頻出順で「時間を示す」「条件を示す」「視点を示す」の順で使われます。
「時間」を示す用法: tenpo suno ni la mi pilin pona. (今、私は気分がいい)
「条件」を示す用法: sina wile sona e ona la o pana e mani tawa mi. (知りたければ、金を寄越せ)
「視点」を示す用法: mi la ona li pona. (私にとっては、それはいいものだ)
「条件」に関しては、中国語を履修している人なら「的话」とほぼ同じ感覚で使えると思ってもらっていいです。
その他、英語と違い文頭を大文字にしないこと、enで文章は繋げられないこと、tasoをbutという意味として使う時は一旦文を区切ること等、細かいルールはありますが、とりあえず上記の4つ以外は最悪間違えてもまず伝わります。目下は上記4つのルールを覚える事を優先しましょう。
STEP 3: トキポナ文をいっぱい読む
トキポナは一応2001年に生まれた言語ですが、公式の文法書が発刊され盛り上がってきたのは実は2014年からです。故に言語としてはかなり発展途上で、熟練したトキポナ話者の例文をお目にかかれる機会はまだ少ないです。しかし言語は読まないことには覚えられません。
最も多くのトキポナ文が見られるのはトキポナ話者たちのDiscordサーバーだと思われるので、そこに参加してみると良いでしょう。ただし、質問などは殆ど英語で行われているので、英語が話せないと厳しいかも知れません。というか、英語が話せない人は流石にまず英語を学びましょう。トキポナとかやってる場合じゃないから。
STEP 4: トキポナで会話する
ある程度トキポナ文が読めるようになってきたら、いよいよトキポナを使って会話してみましょう。DiscordでもFacebookでもTwitterでもお好きな所でどうぞ。
会話で使える文よくばりセット
toki! = あいさつ(朝昼夜全部使える)
o kama pona! = ようこそ!
mi jan sin = トキポナ初心者です
mi pilin seme?/seme li lon? = How are you?
lon = yes
sina pona = ありがとう
mi pakala = スマソ
mi lape ala = 起きた(起床した)
mi sona ala = I don’t know
その他、よく見かける間違い
・tenpo muteは「long time」ではなく「many times」という意味になるので注意。長い時間と言いたい時はtenpo suliを使うこと
・tanは「because of」であって「because」ではない。becauseと言いたい時は「tan ni:」を使おう
最後に
日本語版Wikipediaには書いてありませんが、トキポナは作者のSonja氏がうつ病になっていた時に、自らの思考を単純化するために生み出した言語です。そしてこの言語は、「ネガティブな考えを取っ払うための治療的用法」も可能だとされています。私がトキポナに最も魅力を感じた点はここです。トキポナにはネガティブな言葉が殆どありません。サピア・ウォーフの仮説は皆さんご存知だと思いますが、この言語を使っている間は不思議なほどに心が落ち着くのを感じます。思考の淀みを落としたい方はトキポナを学んでみてはいかがでしょうか。「学ぶ」といっても、この言語の習得に必要な学習時間は破格に短いので、3日もあれば充分実用可能レベルで身につきます。3日坊主殺しのコスパの良さをお試しあれ。
Comments ( 0 )
No comments yet.