20231124
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https://twitter.com/40000_enaga/status/1718532174931181805
このツイート今年一番面白い。
よく田舎のことを「何もない」って言うじゃん。あれって冷静に考えるとおかしな話だよね。”何もない”わけないんですよ。むしろあるなしで言えば、「自然」は圧倒的に都会よりあるわけで。つまり無意識に人間社会のうちでは「自然」をnullとして扱っている。いくら自然があってもそれは人間の世界では「ない」のと同じ。……という思考が脳をかすめたが、多分養老先生の本に全く同じようなことが書いてあるでしょうね。実に養老likeな言論でした。
メモリーパレスを試しているが、これマジですごいな。本当に忘れない。忘れなさすぎて怖い。お前いつまで靴棚に居座るんだ?みたいな記憶の破片があったり。でも多分、これも用が済めば思い出さなくなって「忘却」されていくんでしょうね。すごい仕組みだ。人間の脳は「思い出す」時に一番ニューロンの連結が強化されるから、メモリーパレスを徘徊する癖をつければundoneな事柄は頻繁に思い出すし、済んだものは自然消滅していく。
こんないい方法があるならもっと早く試せばよかった。完全記憶能力者に相成りました。ごっつぁんです。
【千恋万花 レナルート】
尋常じゃないくらい面白いです。何故こんなに面白いのかちゃんと言語化したい。後世のためにも。
まず、本ルートヒロインであるレナ・リヒテナウアーという人間の完成度。これがお話全体の安定感を堅牢にし、それでいて鮮やかに色づけている。椎葉紬と同じタイプの魅力バフ。
レナさんは、良い子です。とんでもないくらい良い子です。完璧であるという意味ではない。完璧に不完全なのです。この世のほとんどのキャラクターは「不完璧に不完全」です。言葉で言ってもわかりにくいので例で示そう。
まず、レナには「嫉妬」という感情がある。それを抱く機構を持ち合わせている。これをひとまず「不完全」としよう。
今まで『千恋*万花』でヒロインが嫉妬の感情を押し出す時、基本的には「すねる」か「八つ当たりする」という発散の仕方しか出来ていなかった。ムラサメルートなどで顕著である。これは双方にとって健康的な処理の仕方でないので、嫉妬という不完全さに対して「不完璧な発現」をしてしまっている。
対してレナは、ほんの一瞬だけ「むぅ」という吐露をするものの、すぐに切り替える。一度もそれ以上を外に出さない。八つ当たりで将臣を殴ったりはしないし、態度を悪くしたりしない。周りに人がいる時は瞬時にムードを平常に戻して気を配れる。これは嫉妬という不完全さに対する理想的な発現の仕方です。(『発現』は我々観測者にとっての都合なので、必ずしもキャラクターの内面的な健康さではない)
何故これが完璧なのか。「むぅ」とすらも表に出さないほうがいいのではないか?と思う方もいるかも知れない。しかしその場合は「完璧な完全」である。レナは「完璧な不完全」だから魅力的なのです。
将臣が他の女と仲良くしていることへの嫉妬を抑えられない、でもそれを将臣に気取られたくはないし迷惑がかかるとわかっている。だから「むぅ」は、抑え込んだ両手から漏れた吐息であり、involuntaryの所作である。彼女の「意志」は止めに向かっている。このようにキャラクターを発現させることで、「ヤキモチを焼く」というアクションが産む萌えポイントと、その火力次第で生まれる「鬱陶しい」というヘイトポイントの閾値を完全に読み切って、萌えポイントだけを凝縮して取り出す事に成功している。ムラサメchangの真逆です。
そしてこのようなユーザーの洞察が成立するためには、それまでの積み重ねでレナ・リヒテナウアーというキャラクターの人格像をある程度掴ませる必要がある。本作はそれをことごとく成功させている。ダイアログの一言一言がレナの「良い子」ゲージを高め続けている。「いかにレナさんが日本を勘違いしてるか会議」を全く意に介さないところとか、細かいジャブが効いているのはもちろん、5-4で見せた「将臣の真意(寂しさを埋める)を分かっていながら、二人きりになるまで明言は控えた」というcrucialなムーブまで、聡明かつ人格者。平たく言えば、レナルートに関しては、少なくとも現地点までは、ヒロインが「可愛くあること」よりも「良い子であること」を優先している。その結果、ヒロインにヘイトが溜まりにくい堅牢な土台が完成し、それを千恋万花随一に洗練されている(らしい)シナリオで包み込む。ユーザーに余計なストレスが入らない、コズモエンテレケイアが完成しているというわけです。
また、現実でも善性は伝染するというが、レナという太陽のお陰で周囲のキャラクターも軒並み映えている。特に芳乃。

レナルートの芳乃、可愛すぎねぇ?どうなってんだ。芳乃ルートの芳乃の1億倍可愛いぞ。
「レナルートを最後にやる」というのは必須条件だったかもしれない。各キャラクターが本当はどんな人間なのか、というのをすべて知った上でこのルートを見ていくと本当に面白い。し、誰にもヘイトが向きにくい。芳乃はどうもはじめお硬いキャラという眼鏡で見すぎていたかもしれない。他ルートをすべて終えて、今は随一のポンコツ根暗子供ガールという印象に収まったのでそういう存在として芳乃を見るとあら可愛い。

ノベルゲームの文章とは、一語一語が綱渡りである。一言でもユーザーの気分を害するようなものをお出ししてしまえば取り返しがつかないハンデを負う。
そんな中、人一倍口数の多いレナがその綱渡りをあざやかに渡っていく様は見ていて痛快。上記会話とか完璧に最高。平和。ピンフ。「俺にはトナカイって、サンタクロースのそりを引いてるイメージしか無いけど」に対する「サンタクロースの旅は、きっとのんびりしたものでしょうねぇ」って返し、アンミカの「幸せの『し』ですよ」に匹敵するだろ。言い回しが素敵すぎます。
ただ……。これだけ色々書いたけど、ムラサメchangもチャプター5までは至って平和だったからな。千恋万花はだいたい終盤ダメになる傾向があるからまだ安心できない。トラウマタイズされちゃってます。レナは完璧な不完全だが、一歩でも足を踏み外せばその魅力は失われてしまう。残りおそらく十万字はあろう綱渡りを渡りきれるのだろうか。
Glare1moreをクリアした。一時間弱で終わるのでネタバレも何もないような気がするが、一応ネタバレありんす。基本悪口大会なので注意。
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80%OFFで200円未満だったので何も考えずに買ってしまった。結論から言うと、アタリかハズレでいえばハズレ寄りでした。元がフリーゲームで、有料版で変わったのは立ち絵が動くことくらいらしいのでフリゲと考えれば何も問題ないんだけど、有料ゲーとして考えると色々と論外レベルにお粗末。
ストーリーやキャラクター云々以前にウェイトの使い方、UIの作り方、根本的なゲームデザインが素人以下である。文章も洗練されているわけでもなければ味があるわけでもない、staleな文体。
ボイスはおろかBGMさえ無いというのは大分思い切ってるが、正直このレベルだとBGMの有無でどうこうなるレベルじゃない。一応”あえて”最後の場面まで無音にしておいたという意図は伝わるので、やりたかったことは分かる。
ラストのノーヒントパスワードの場面は、アイデアとしては良かったと思うけど3つも設定する必要はなかったんじゃないかしら。ユーザー名だけで充分だったと思う。特に「ロゼ」が文脈なさ過ぎるし。ただ真面目にプレイしてたユーザーならまず詰まる事はないだろうというくらいの難易度調整は悪くない。
追加シナリオもやったけど……なんか……空っぽだ、このゲーム……。190円くらいで買ったから私は別にいいんだけど、フルプライス確か1000円くらいしたぜ?これ1000円で買った人、この世で最も損をしているだろ。四八の方がまだトータルで楽しい。
ストーリー自体は特段悪いわけではない。特段よくもないが。たださっきも言ったゲームメイクから見せ方から全てが微妙。特にエンディングのカタルシスの無さは今までやったゲームの中でも随一かも知れない。ユーザビリティという言葉を知らない未開人が作ったとしか思えない。(制作時期を考えれば、おそらく本当にそうであった)
一応エロ要素もあるけど、本当に申し訳程度という感じで、それでいて作者が一番やりたかったのはここなんだろうなというのが伝わってむしろ居た堪れない。「作者のオナニー」という侮蔑語がまれに使われるが、本作は唯一それを正しくあてがえる作品だと思う。
クーデレ好きかい?じゃあ買おう。
アンドロイド好き?Sっ気ある子が好き?
じゃあ買おう。
Steamレビューのこれにもっと耳を傾けておくべきでした。このメッセージは、逆に言えば、上記ジャンルに飢えて飢えて仕方がない飢餓状態のリス以外は食せない代物であるということだった。私は別にSっ気ある子にもアンドロイドにもクーデレにも飢えていないので食せなかった。それだけの話。
「可愛さ」だけで売りにきてるゲームを軒並み焼き払いたい。いや、存在はしててもいいんだけど、ガワだけでそれを察知できないのはやめてくれ。全面に出してくれ、「うちは可愛さ以外何も持っちゃいねぇよ!萌えオタ以外は帰んな!」って。

こういうのばっかな時点で察知できなかった私が悪かったでした。
Steamの評価が本当にあてにならなくなってきた。このゲームが「非常に好評」なのはかなり直観に反する。
特に昔の作品のSteam移植版とかの場合、ゲームのクオリティとか抜きで懐古票で上がりやすい傾向にあるということがようやく掴めてきた。このGlareもその手のものでしょう。あと続編系が優秀な場合も対して面白くない初期作が勝手にバフかかって評価上がりがち。
散々こき下ろしましたけど、一応擁護しておくとGlareの原本は12年以上前のゲームで、しかもフリーで公開しているのでその条件で考えれば全然面白い部類。続編のGlare2, Glare3もUI周りとかが改善されて面白くなってるらしいので、もしかするとその二作は革命的に面白いのかも。
そもそも元Glareがまだ普通に公開されてる時点で、大して情報見ずにカートに入れた私が悪い。まあ損失が190円ならほぼ無傷ですけど。にしても、元フリゲがボイス追加したわけでもボリュームアップしたわけでもなんでもなく+1000円の値段で売り出されるっていうのは果たしてどうなのか。作品の質よりむしろそのメンタリティが鼻についてしまった。いや、元作を依然公開してるので大分良心的な方なんですけどね。
https://twitter.com/aki_masanari/status/927868376663203841
あと、作者の昔の絵はバチクソに良いです。宮崎のどかが見えた瞬間満面の笑みになってしまった。ちなみに今の絵もかなり良い。
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