細雪
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地吹雪舞う季節 風の中
あなたとはぐれたその瞬間に
何もかもが眩んだような気がした
こんなに側にいるのに届かない
枯れた喉からは何も出やしない
溶けていく君と冷えていく僕
霜焼けになった指よりも
厚く冷たく凍りついた心
錆色に包まれた街で
君の名をぽつり呟く
それだけで温かな光に包まれた
僕ら同じ空の下と上でずっと揺蕩えるなら
僕は何も望まないさ
吹き荒ぶ細雪に悉く隠れてしまえ
霜焼けになった指よりも
厚く冷たく凍りついた心
灰色に染め上げられた空
首巻にそっと触れてみる
それでも癒えない傷を背負て
錫の箔をうちあてるような音を立てて
崩れてゆく僕の世界
滴り落ちる露のように
きっと君はまだ待っているのだろう
僕と出逢える日をずっと
それでも君は望まないで
さざれ石のように佇んで
錆色に包まれた街で
君の名をぽつり呟く
それだけで温かな光に包まれた
僕ら同じ空の下と上でずっと揺蕩えるなら
僕は何も望まないさ
吹き荒ぶ細雪に悉く隠れてしまえ
透明で細い糸がたしかに繋がっているから
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