微熱
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前々から言っているけど、俺は絵を描く人は全然好きじゃなくて物語を描ける人が好きなのです。だから漫画家とか、あるいは彼のように連続性のある一枚絵でもいいけど、そういうのが好き。とりわけ悪意が無い・もしくは奥底に確かな光を感じる作風が好き。実際問題、絵はうまくとも物語が描ける人は非常に少なく、メチャクチャにうまい絵を描く癖に漫画を描かせるとちょっと形容できないくらいゴミカスになる絵師を俺は何万回と見てきている。そうでない人のほうが少ない。まず、コマ割りがバカみたいに下手なんですよね。視線誘導のしの字も知らないような描き方をしていて読みづらいことこの上ない。誰のことってわけじゃなくて、ほぼ全員に言える。しかしメチャクチャに絵がうまいのに漫画がゴミカスなフェイクマンが多いというのは共通認識な気がする。前似たようなことを呟いたら同意の声が上がったのを覚えている、気がする。シナリオもヤマなしオチなし意味なしのcrackficばかり。さらに悪いことには、大半の人間はそれで良いと思っていること。辟易としている。そういう意味では進撃の巨人の作者なんかはある意味理想形なのかもしれない。今は普通に絵もメチャクチャうまいけど、1巻の画力であれだけウケたのは漫画と物語の才能というほかない。
そんな中、リアルをやっている人々も中にはいる。例えばファーム氏。彼をずうっと昔に知って、pixivだと2013年が最古になっているけどたしかもっと前にファムコミっていうHPに貼ってたんじゃなかったかな。ようは不条理系ギャグ漫画なんですが、最高。絵柄が最高だし、面白いし、光がある。光がある。それ以上にはちょっと形容しがたいが、田舎の小さな公園のベンチで斜陽を浴びながらうたた寝しているような光がある。内容は下ネタや罵詈雑言や不条理のオンパレードなんですが、なぜかまったく穢れを感じない。こうなると、俺の大好きな「真っ黒な雲が空に満ちているのに陽が射している天気(これなんて言うの?名前ある?誰か知ってたら教えて下さい。それとも遭遇したのが俺だけということはないだろうな。人生で2,3回しか見てないけど)」のようなクオリアがあり、もう、浄化ですよね。生活がある。息がある。この世界の片隅にvibeがある。希望がある。ああいうのを天才っていうんだよ。誰か一人の絵しか一生見れないって言われたらこの人を選ぶかも知れない。生活感を芸術の幻燈に投影できる者は本当に希少。他にこれが出来る者は谷川俊太郎などがいるけど、大半の人間はおのれの人間性を滲み出してしまう。全面に出すより滲み出す方が在る種たちが悪く、自分は人間性を出していないつもりでいると目も当てられない。まぁ、いろいろ言ったけど、わたしはなんも作ってないんですが……しかしcreatorがnon-creatorにマウントを取るというのも妙な話だなぁと前々から思っている。何億回も言っているように、基本的に有産より無産の方が清いし偉いので……生産者と消費者と分解者で生産者を選ぶ奴がどこにいるのか。
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