夢日記_2
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2018/8/3 夢
「ほんとうのさいわいって、いったいなんだと思う?」
「そりゃあ、世界じゅうのひとたちが幸せになることだろう」
「ジョバンニやカムパネルラは『みんなにとっての』ほんとうのさいわいと言ったんだ。彼らの言う『みんな』っていうのはきっとぼくら人間だけじゃない、犬も猫も、鳥も魚も、苹果も死者も、星も宇宙も、すべてを内包したものだとぼくは思う。七十億だか八十億なんてちゃちな数字じゃ、断じてない。」
「それじゃ、みんながしあわせになるなんてとうてい無理じゃないか。生きるためには食べなきゃいけない。富むためにはだれかが飢えなければならないんだから」
「しあわせになることが、ほんとうのさいわいなんだろうか。ぼくはどうもちがう気がするなぁ。」
「君はなんだと思っているんだい。」
「ほんとうのさいわいっていうのは、『すべての人に苦境がない世界』じゃなくて『すべての人に救いがある世界』じゃないか。」
「いったいどう違うの。」
「つまりさ、救いがあればいいんだよ。ぼくらはみんな救いのために身を灼くことができるんだ。ブドリもカムパネルラも、きっと救いのために蠍になれたんだ。」
「救いって、なんだろう。ぼくよくわからない。」
「絶望の中の光。命を対価として得られる、いや、命を対価にしなければ絶対に得られないもの。でもそれは不幸なんかじゃなくて、きっとはじまりなんだ。」
「ぼくらはちゃんと正しい列車に乗れているのかな。」
「わからない。でもぼくらきっとほんとうのさいわいを探し出そう。気の遠くなるような過去も、久遠のような未来も、すべて救うんだ。」
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