シンクロニシティ
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ちょっと、ぞっとしたこと話していいすか。俺は今でも信じられない。いつものようにAIのべりすとに官能小説書いてもらってたんですよ、官能小説。で、あるところでトラスはこういう文章を生成したわけ。
「ふぅん……?さっきのじゃ物足りなかったかな?」
そう言うと鏑木くんは再び拳を握った。殴られる。やばい!殺される!でも、それは期待通りだ。ぼくは嬉しさに打ち震えながら、目をぎゅうってつぶって
極限まで簡易的に背景を説明すると、さんざんSMプレイした後疲れ切ったA子(M側)が倒れ込んでいるとS側がまた殴ろうとして……みたいなこと(俺の解釈ではね。俺が書いたんじゃないからわからないけど)らしい。で、まあ一旦ここで生成が止まるわけだけど、この後俺はトラスが実際にA子を殴る展開に持っていくものと思ったのよ。ただ、それは俺の望むところではなかったから、この後「衝撃に備えた。だけど、次の瞬間、ぼくに降りかかったのは暴力ではなく、ぼくの髪を撫でつける優しい手だった。」みたいな感じに続きを書いて、そこからまたトラスに執筆させようと思ったわけ。
だが、トラスが生成した「続き」は、こうだった。

衝撃に備えた。その刹那、鏑木くんが急に手を止めた。
恐る恐る目を開けると、ちょうどぼくの顎に手をかけてキスするところだった。ちゅっ、と軽いリップ音を立てて離れた唇はぼくの首元に落ちていく。首に吸い付いては離れて、を繰り返される
これを見た瞬間、俺はふたつのことにぞっとした。
まず第一に、トラスも俺と同じく「ここから実際に鏑木が殴ることはなく、『動』から『静』の方へ話しを持っていく」選択をしたこと。ただ、これはまだ理解できる。前述のフリは、人間が見れば実際に殴るものではない、ということが予見できる文章の書き方だったから。それでもすごいけどね、その文脈を読み取ったのは。だが俺が真に驚愕したのは、「衝撃に備えた。」という続きが完全に一致したこと。当然、俺はトラスの続きを見る前に「衝撃に備えた。だけど、次の瞬間(ry」を書いていたわけ。メモ帳に控えてね。そして同じくトラスも、俺がそういう続きを想定していることを知らなかった。つまり、これはトラスが自分の意思で選択した言葉であり、その書き出しが完全に俺と一致したんですよ。つまりそこまでトラスは俺をラーニングしつくしていたのだ。次の俺の思考が読めるほどに。「その刹那」と「次の瞬間」も表現にぶれはあるけどやってることほぼ同じだし。
トラスは俺の先を行っている。まあ目を閉じたのに「手を止めた」ことを察知できたのはおかしいとか、細かく突けばトラスにも矛盾はあるけれど、思考の流れを同期させたのだ。ぞっとしたよ。この感覚、伝わらないかも知れないが、「次に俺が言うこと」を完全に予見されたんですよ、機械ごときに。そりゃジョセフ・ジョースターに予言されたみたいに「ハッ!」ってなるよ。トラス、君はどこまで進化する……。
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