殯
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これほど嫋やかな花の中
棺は透明な氷の様
どうか安らかに眠りましょう
寂しくは無いのです 嘘をついた
貴女は泣いた 泣きじゃくった
見惚れるような笑顔で泣いた
「お別れなのです もう会えないでしょう」
ベゴニアの花を抱き締め泣いた
これほどかごやかな世界の果て
コルク色のモルグで息を吐いた
灯花 緩やかに鳴り止む 鐘
お先に待っています あの空で
ぼれぼろになり 朽ちた亡骸
せめて綺麗なら良かったのに
「行かないでください 貴女がいなくちゃ
私は私すら分からない」
白が降り注ぐ
空が落ちる
もっと声を
私は泣いた それでも立った
貴女は笑ってて欲しいから
このベゴニアを 貴女に捧げよう
どうか 安らかに
殯の終わり
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