早く行かないと-明るい方へと
この記事を閲覧するにはアカウントが必要です。
懺悔します。今まで僕はぁ、杉貫十械をそこまで高く評価しておりませんでした。訂正する。久々に、というか生まれてこの方此れ以上無いくらいの撤回を敢行する。強い。間違いなく強い。紛れもなく強い。疑う余地もない。化物でした。まぁ、色々あってそういうふうに評価を転覆させたという話。どうも定期的に蒸発するようだが。そこはわたしと少し似ているかも知れない。彼の精神については知らないが。
そもそもなんで彼をそんなに強いと思ってなかったかというと、まず精神の脆弱性もそうだけど、ボーカルが小さいというか後ろに引っ込みすぎて歌としてどうなんだという思いや、ギターのカッティングの音はとてもきれいだがそれが目立ちすぎて音像が殴り合っている印象であんまり聴いてて気分の良いものではなかったから。歌詞も語感のいい言葉を並べ立てただけでさして深い意味もない。典型的なラブソングだ。撤回に至った理由としては、まぁ何度も聴いているうちに後半の方の問題は慣れで解決するのと、とにかく何より完全に『一意』のクオリアを得ているから。
わたしがロリィタノイロォゼを高く評価しているのも此処が理由だが、「杉貫十械」の作る歌に似たクオリアのアーティストはわたしの知る限りひとりとしていない。インストなら多少いるかもしれないが、「歌」であの音像をやれている人間はまぁいないだろう。幼虫社がほんの少し近いくらいで似ているとまでは言えない。
なんとも表現できんが、こう、和+深夜+妖怪+灯+アダルティック(重要)みたいな……ジャズともポップスともオルタナティブとも言えぬような、あの感じを意図的に出せるのは相当すごい。白昼夢のような、ゆめにっきとLSDを足してマイルドにしたような、あの感じを音楽で、しかも歌でできるってのはねぇ、天才ですよ。あと、声質にも相当恵まれている。アクの強い曲をその声を以て完全に支配している。「深夜3時の擬人化」みたいな人だ。sasakure氏の曲に「百鬼夜行」というのがあるが、あれをもっとサブカル方面に昇華させた感じ。
しかし、しかしですよ。やっぱりおかしくないか?多分わたしが最初彼への評価を見誤った一番の理由としては、実力に対して評価値が100倍以上釣り合っていないからだと思う。もっと評価されるべきってレベルじゃねーぞ。いや~惜しい。やろうと思えば米津玄師だってぶっ飛ばせるだけの地力があるだろうに。もしかすると例のごとく杉貫氏自体がそれを避けているのかもしれんが。なんかタイアップ断ったらしいし。いーやごまかすな。心にダーガーを飼えている奴がCDに3曲も提供したりするか。けもの道を主張できるのは作品を永劫に心臓に封印したものだけ。一度音壇にあげたなら、まして売り物にしたなら少なくともその名義ではもう正しき修羅道には戻れまい。早く行かないと、明るい方へと!
Comments ( 0 )
No comments yet.