害児
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走り続けるだけの電車
鳩が線路飛び過ぎた こびりつく柘榴を轢いた
走りだしたばかりの電車
すぐさま一人飛び降りた 奴らが気づくはずもない
音を立てて進む電車
「終着駅は八十年 途中停車は御座いません」
耳も目も塞ぐ車内
こんなに目が蠢いても 一瞥もくれず引きこもり
硝子の破片踏み付けて 走る 走る 押されて走る
後ろがつっかえている 急がないと私は 私は
害児
水を与えなくても枯れない花を
きっと彼らは産み出すのだろう
植えて殖えていつしかその地には
一面の花園が広がるのだろう
とても美しい花園が
真っ赤な色した花園が
赤い水注がれた如雨露
ぶちまけられた絵の具たち 融け合うように混ざりゆく
がたがた震える電車
喚き散らすは猫背の婆 正義の杖を振り下ろす
逆さのベルトコンベアを 走る 走る 進まずとも走る
冷めた目が背を突き刺す 鎖をつけた私は 私は
害児
水を与えなくても枯れない花を
きっと彼らは産み出すのだろう
植えて殖えていつしかその地には
一面の花園が広がるのだろう
とても美しい花園が
真っ赤な色した花園が
鉄の薫り蔓延る楽園に
幾千の骨で形作る
鳥避け案山子
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